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第4回フッ素のロマンを語る会

月曜日, 2月 27th, 2017

日時:2月9日14時~17時

場所:旭硝子本社

出席者:大春(戦略家企画室長)、前川(開発部長)、森澤(特別研究員)、白川主幹、森島主幹、中島主席他約30名の研究開発関係者(旭硝子化学品カンパニー)

講演者:田口、清水、松尾

内容:旭硝子森澤氏の司会でまずは松尾が「フッ素のこの十年の動き」、次いで清水が「フッ素ポリマーの技術進化から考えること」、最後に田口が「フッ素化反応および脱フッ素化反応の最近の進歩から」の題目で講演した。各講演者のフッ素に対する熱い気持ちが会場を覆った感じで講演後の出席者からは感動したとの声が多かった。

講演後、丸の内の料理屋に場所を移し、10名ほどで懇談を行ったが、活発な議論が行われた。

こういう形でフッ素のロマンを語る会のメンバーが各地を回り、フッ素の面白さを語っていくことも一つのやり方ではないかとメンバー同士で話し合った。

 

平成29年新年ご挨拶

土曜日, 12月 31st, 2016

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

株式会社FT-Netが誕生したのは2006年10月、昨年10年の節目を迎えました。この間、お陰様で順調に推移し、ようやく一人前の会社に成長したと自負しております。と言いますのは、企業は永遠なりのモットーは根付き始めており、新規事業も続々と誕生の可能性が湧いてまいりました昨今であるからです。

このことはひとえにユーザー様や委託製造会社様、原料メーカー様、ディーラー様の絶大なるご支援の賜物と深く感謝いたしております。それと同時に我々スタッフが私心を捨て、ただただ会社の発展を願って、それぞれの役割を全うし、日々努力してきたことも挙げられると思っております。

常々述べていることですが、FT-Netは二つの大きな事業領域があります。一つはフッ素系潤滑剤やフッ素系コーテイング剤などの製品を開発・製造・販売している事業であり、売り上げの大部分はこの事業領域に依っています。二つは、新聞情報・文献情報・特許情報を集めて月刊誌を作成し、ユーザー様やフッ素メーカー様に購読していただいていることです。

我々はこのことを文武両道と称して、前者は世の中の経済活動に寄与し、後者いわゆる企業文化として、フッ素化学の発展に寄与したいと日々努力を続けている次第です。そういう意味では、一昨年私と元九州大学の園田高明さんが提案し、東京薬科大学名誉教授田口武夫さん、元ダイキン工業の清水哲男さん、産業総合研究所の小野泰蔵さんと言ったフッ素の世界の大御所と結成した「フッ素のロマンを語る会」の活動において、私が話題提供を続けることができていることは、弊社が有しているフッ素関連情報のお陰だと思っています。

本年もFT-Netの発展のために心血を注ぐ覚悟でございます。皆々様の益々のご支援ご鞭撻をお願いして新年のあいさつとさせていただきます。

最後に皆様のご健勝を心からお祈りいたします。

代表取締役会長 松尾 仁

 

第45回神楽坂祭り

火曜日, 8月 2nd, 2016

7月末の土曜日、本格的な夏空の下、第45回を迎えた神楽坂祭りに行った。これまで2回ほど行ったことがあるが、いずれも金曜日だった記憶がある。つまり会社の帰りに立ち寄ったと言う訳である。この祭りは何故か阿波踊りが出し物である。午後3時半ごろ、家を出て神楽坂に向かう。まさに通勤と同じコースである。但し、ラッシュアワーではないので悠々と座れて、冷房が寒いくらいに効いていた。神楽赤に着いたのは午後5時前、神楽坂の大通りはまだ歩行者天国にはなっていなかったが、写真に示すように祭りの雰囲気が伝わってきた。

毘沙門天の前で浴衣姿の美人がいたので少々ピンボケだが写真に収めたので載せる。

商店街はほとんどが店の前に出店を出して食べ物などを販売していた。昨日まで出ていたよしず張りの屋台の列は取り払われていた。小腹が空いたので五十番の店の前に出ていたワンコインの肉まんとビールのセットを買った。食べ歩きができるように設えてあり、道行く人も食べ歩きをしていたが、何となく気が引けたので、神楽坂大通り(早稲田通り)と大久保通りとの交差点の先に公園があるのを思い出し、そこへ足を運んだ。公園は比較的空いていて藤棚の下にベンチがあったのでそこに腰かけて、ビールを飲みながら肉まんを頬張った。ビールの酔いが身体中に充満し、ぼんやりと公園内の動きを見つめていた。ゆっくりと時が流れていく。少し離れたベンチで男性が鳩や雀に餌をやっていて、それぞれ10羽以上の鳥が集まっていた。餌の取り合いは結構厳しく、折角得てもほかの鳥に取られてしまう光景にのどかな風景の中に自然の厳しさを感じさせられた。午後6時過ぎに公園を出て再び神楽坂大通りへ。かなりの人が出ていて、道路の縁に陣取り、阿波踊りの一行を待ち受けている。

やがて、先の交差点の向こうから子供によるの阿波踊りの一行が姿を現した。

そして、次々に町ごと、団体ごとのグループごとに続いていった。もはや歩道は満杯で歩くことも困難な状況であった。太鼓と笛の音が腹と頭に響き渡ってくるようだった。そして、子供たちの元気な掛け声が心を揺さぶった。

本格的な阿波踊りは7時からだと言うので、何とか歩道を歩いて神楽坂大通りの入り口付近にある紀の善に入り込み、卵雑煮とみつ豆を頼んだ。30分かけてゆっくりと食べ、7時に表へ出ると、すでに阿波踊りは始まっていた。矢張りこちらは迫力が違う。菅笠をつけた浴衣姿の女性群の踊りは祭りの最高潮の雰囲気を作り出すのにあの三社祭の神輿にも匹敵するものであった。但し、何枚か写真を撮ったのだが、いずれもピンボケで、何とか雰囲気が伝わるものとしては下記のものしかなかったのが残念であった。

確かに日本人は祭好きである。浅草の三社祭、神田明神祭、京都の祇園祭、青森のねぶた祭、秋田の竿燈祭、七夕まつりなどなどこれまで多くの祭りを見てきたが、踊る人々、それを見物する人々の中に大いなる活気が漲っていて、今回改めてしみじみとそのことを想った。

第3回フッ素ロマンの会

金曜日, 7月 29th, 2016

日時 2016714時~17

場所 三菱マテリアル電子化成(秋田市)

出席者 三菱マテリアル電子化成

越村社長、中村副社長、本田所長、白石副社長、神谷主研、魚谷氏他20

三菱マテリアル 中央研究所のメンバー数人がテレビ電話参加

園田高明、喜多房次(LIBTEC)、熊谷勉(滋賀県立大学名誉教授)、松尾仁()

スケジュール

越村社長の挨拶

園田高明氏の趣旨説明

喜多房次氏講演「先進リチウムイオン電池用フッ素化有機リチウム塩の電解液・電池特性と今後への期待」

松尾仁講演「リチウムイオン二次電池におけるフッ素系材料の最近の動向」

フリーディスカション

茨島荘にて会食

内容 喜多房次氏の講演については提供した資料の内容で講演。

まずは、LiBの現状と課題をあげ、長寿命で高温安定性の先進LiBを開発することが必要であり、さらに安全性と低コスト化は実用化において必須条件と説く。

そして、LiBの原理を紹介後、電解液としてリチウム塩の望ましい条件を列挙。

それに適っているのが有機リチウム塩で、特に含フッ素有機リチウム塩が望ましいとした。

次いで本題に入り、次に示す表題ごとに講演がなされた。

1、フッ素化有機リチウム塩を用いた電解液のイオン電導度と耐酸化性

2、フッ素化有機リチウム塩を用いた電池の評価結果

3、LiPF6由来のフッ素系有機リチウム塩を用いた電解液の性質と電池特性評価結果

4、まとめとフッ素化有機リチウム塩への期待

講演内容の詳細は添付資料に譲るが、理論的かつ実証的にわかりやすく説明されていたのが印象的であった。

ポイントは

1(RfSO2)NLiが高い伝導性と耐酸化性を有していること。

2、サイクル特性の評価では((CF3)2CHOSO2)NLiが最も優れており、これは電極表面に保護膜SEIを効果的に形成していることによるとした。

3LiPF6の熱安定性改良にはLiPF4(CF3)2が有効であることをΔH、ΔG、アニオンのHOMOエネルギーから確認し、実際には3年間PC/DME溶液として保存した際、ほとんど変わらなかったことで実証している。

結論として、フッ素系有機リチウム塩は今後大いに有望視されること、今後高電圧化が必要となるが、その時の安全性が重要であり、それには電極表面にどのようなSEIを形成させるかがカギを握っているとしている。

松尾仁も提供資料をベースに講演。LiBにおけるフッ素系材料をここ2年間の文献、特許からその動向を探ったものである。電解液、電解質、添加剤、セパレーター、電極ごとにどのようなフッ素系材料が開発されているかを述べた。また、F-を電荷移動体として用いたフルオライドイオン電池についても言及した。関心を示されたのは、東京大学の山田教授らが開発した電解質と溶媒の比率が1/1の超高濃度電解液の電池である。電解質にLiFSAを用い、溶媒にDMCを用いたもので、難燃性、高C-rate、高リサイクル特性、集電体Alを腐食しないなどの特性を有している。また、フルオライドイオンバッテリーは現行のLiB5倍の容量が理論的には期待されるが、F-イオンが、反応性が高く、その状態を保てないため実用化には程遠い。園田高明氏は如何にF-イオンをその状態で働かせるかという課題を理論的に展開していた。

最後に今回の会は、質問も多く、大いに盛り上がったという印象を受けた。今後、若い人たちが、フッ素系材料によって革新的な電池の開発に寄与されることを願ってやまない。

「フッ素のロマンを語る会」について

火曜日, 3月 1st, 2016

昨年9月に、FT-Net松尾と元九州大学で現在、世界中を飛び回っている園田高明氏とが発起人になって、「フッ素のロマンを語る会」を立ち上げた。呼びかけに応じていただいた方々は、東京薬科大学名誉教授田口武夫氏、元ダイキン工業の清水哲男氏、日本フッ素化学会理事小野泰蔵氏、イハラニッケイ化学工業リサーチフェローの木村芳一氏、信州大学名誉教授の東原秀和氏である。

昨年9月に第一回会合を株式会社FT-Net事務所で行った。東原氏以外は参加。まずは、簡単な自己紹介後、この会議開催の意義について、議論がなされた。

「何のための会なのか」:フッ素化学の歴史を踏まえた現時点での位置づけ、それぞれのフッ素化学における個人的な歴史、これまでに残してきた課題などを明確化し、将来を語り、特に若い世代に伝えていくこと。

「何をしようとするのか」:フッ素化学の中で、それぞれの専門分野において、個人的、全体的にその歴史を振り返る作業を行う。また、例えばフッ素は何故表面エネルギーが低いのか、あるいはフッ素の医薬・農薬における役割といった基本的な問題を出来うる限り取り上げる、そして、年に23回集まり、場合によってはそれぞれの課題に詳しい専門家を招致し、徹底的に議論する。いずれにしても今まで出されてきたフッ素化学の数々の清書とは全く違った、深く掘り下げた内容のものにしたい。

「メンバーについて」:基本的には今回出席できなかった東原秀和氏を含めた上記メンバーで進行していくが、さらに海外も含めてさらに増やしていくことに吝かではないがあまり増やすことはしない。

「期間について」:3年をめどにまとめていきたい。

「成果の報告」:できれば製本して世に出したいが、それにはこだわらず、状況に応じて小冊子の形で出していくことも検討したい。

その後、場所を神楽坂の料理屋に移して大いに語らい、上記のことを深化させた。

次いで2回目として、本年、223日にダイキン工業のテクニカルイノベーションセンター(TIC)で京都大学の長谷川健教授をお招きして、「フッ素化合物の物性の統一的見解に向けた物理化学」という題目で講演していただいた。我々の会からは、園田氏、清水氏、小野氏、松尾が参加し、数十名のダイキン工業の研究者が聴講した。非常に分かりやすい言葉とほとばしる情熱で語ったことが強く印象に残った。結論としては、パーフルオロアルキル基を有する化合物の1分子と分子集合体との違いを双極子相互作用を中心に据えた近似モデル(SDAモデル)で統一的に説明ができるというもの。特にパーフルオロアルキル基の鎖長を変えたとき、C8以上で凝集し、高い撥水性を示すことを赤外スペクトルと双極子相互作用の理論面から証明したことが特筆に価する。勿論、このことは実験的には古くから知られていることで、最近のPFOA問題でC6に変えざるを得なかったメーカーの最大の課題に関係することであるが、新しい理論で理論付けできたことは画期的であり、今後の発展につながっていくことが期待された。そのほかに、PTFEを延伸したときに水が強固に吸着することも双極子相互作用で説明できると述べていた。フッ素化学の常識を破るといっても過言でないと考えている。この講演に対する質疑応答が講演後に行われ、また場所を移して我々4名を含む十数名が集い、さらに議論が重ねられた。結論としては、この理論を今後さらに発展させ、如何に新製品開発につなげていくかが最大の関心事であり、長谷川教授自身もそのことに意欲を示されていたとの印象を持った。

次回は本年7月ごろを予定している。

新年のご挨拶 2016年1月1日

金曜日, 1月 1st, 2016

新年あけましておめでとうございます。皆様におかれましては本年が良い年であることをお祈りし、変わらぬご厚情をよろしくお願いいたします。

昨年は風水害、地震、微生物被害等が次々に起り大変な1年でありました。不幸にもその災害にあわれ大変なご苦労をされている方々には心よりお見舞い申し上げます。一方、スポーツ界においてはテニス、ラクビー、フィギャー等のスポーツ界の快挙が伝えられ、科学界においてもノーベル賞の2連続受賞のニュースは、日本の研究への信頼が高まり、輝かしいものが感ぜられました。

弊社は今年創業以来フッ素に関する情報収集と提供、フッ素技術コンサルティング、そしてフッ素系表面改質剤の製造販売を行ってまいりました。そのフッ素は一時環境悪の元凶のような扱いを受けておりましたが、それを克服するような技術が今次々と生み出されております。それらの新技術を生かしつつ、世に貢献できる新製品の創出がフッ素の世界にも求められております。

弊社は創業10年という節目の時期を迎えることとなりました。この10年間に集めたフッ素に関する情報は膨大で弊社の貴重な財産となりました。そしてその蓄積技術情報と固有の技術を組み合わせ新製品を世に送り出しました。

今後はより正確な情報収集と、より特徴があり皆様のご要望に応えられる新製品の創出に励んでまいります。そしてより必要とされる企業になるために変革と、飛躍のスピードを上げていくことを目指してまいります。

結びに、今年は経済環境、法規制環境の変化が予想され、昨年以上に企業の取り巻く環境がより厳しくなることが考えられます。皆様におかれましては今年のご発展とご健勝をお祈り申し上げます。

平成28年元旦

代表取締役社長 富永安里

科学の最近の進歩3 中村桂子

月曜日, 3月 2nd, 2015

「科学者が人間であること」「鶴見和子・対話まんだら、中村桂子の巻」「自己創出する生命」

「科学者が人間であること」。私にとって何か当たり前のことが表題となっている。その人間は「生き物であり、自然の一部である存在」ということで何度も繰り返され、この本のベースを流れていく。この当たり前のことが気付いてみれば当たり前になっていないと言うことに気付かされる。彼女は生命科学から生命誌に至っている。それは下図に示す40億年前の生命誕生から現在に至る生命の歴史学である。この流れを理解することにより他の生物の繋がりを理解し、人間が自然の一部であることを感じることが肝要と言っている。

この図は抽象的だが、中沢弘基氏が「生命誕生地球史から読み解く新しい生命像」という本を出していてその中に下図を示していて実に分かりやすかったのでここに掲げておく。つまり、地球は46億年前に誕生し、最初は溶融状態にあったが次第に冷えていき、陸のない海ばかりの状態へと変化していく。そして、隕石の海洋衝突が頻繁に起こる中、超高温・高圧、超臨界・急冷状態下で有機低分子アミン、カルボン酸などが大量に生成する。そして、有機物で水溶性の化合物は海に溶け、粘土質の微粒子に吸着して海底に沈着する。海底では脱水状態が達成され、水溶性アミンやカルボン酸が高分子化していく。その高分子は無機質の小胞体の中に取り込まれプレートに乗ってその端で熱水に遭遇し、個体として成立する。これが生命の誕生である。高分子はやがてRNADNA、そしてたんぱく質になり、代謝機能、自己複製機能を獲得し、本格的な生命の誕生となる。その後は「科学の最近の進歩2」で述べた歴史を辿って人類に至ると言うわけである。ニワトリが先か卵が先かの議論はこの考え方ですっきりと解決されているように思った。

中村桂子さんに戻ろう。彼女は科学が独り歩きして自然をないがしろにしてきたことを憂い、科学の世界から哲学、文学の世界を垣間見て、そこに真実があると感じたようだ。鶴見和子との対談もその流れの中にあり、大森荘蔵 吉本隆明、宮沢賢治、南方熊楠に接し、略画化と密画化の重ね描き、知ることとわかること、縁と曼荼羅などの考え方を取り入れて総合的に複雑系の科学を理解しようとしている。そして、色々な分野の人たちとサロンと称して議論を繰り返していく場を設けることを提案している。具体的に何が発見され、どういう新しい思想が生み出されてきたかは不明だが、今後、このような運動から複雑系の科学、これまで述べてきた非平衡の物理学や非ダーウイン生物学の世界を描くことが出来ると大いに期待している。そして、ここで取り上げてきた「科学と芸術」、「科学と宗教」が今後続けていかなければならないテーマであることも認識できた。今後は総合的に深めていければと思っている。

科学の最近の進歩-2 スチュアート・カウフマン「自己組織化と進化の論理」

火曜日, 2月 10th, 2015

スチュアート・カウフマン(1939)

最近の科学の進歩-1でイリャ・ブリゴジンの「確実性の終焉」を紹介したが、不完全燃焼だったので、それに関連した本を読んでいる。同じブリゴジンの「存在から発展へ」、太田隆夫の「非平衡の物理学」、スチュアート・カウフマンの「自己組織化と進化の論理」である。今回は、「自己組織化と進化の論理」について述べる。

「自己組織化と進化の論理」は生理学者で医者のカウフマンの著作。ダーウィンのランダムな突然変異と自然淘汰による選別と言う進化論に真っ向から挑戦する内容。そこには非平衡の物理学も登場して彼の考え方を支援する。

まずは、ダーウィンの考え方だと生命の誕生に地球誕生から40億年では時間が短すぎる。まして、人間が登場することなど余程の偶然が重ならないとできない。そこには見えざる手による自己組織化という考え方が必須であると言う。

ダーウィン主義の継承者である生物学者のほとんどが「個体発生の秩序は、進化によって一片一片つなぎ合わせて作られた手の込んだ機械がこつこつと働いて生み出したものだ」と考えているが、カウフマンは「個体発生で見られる美しい秩序のほとんどは、驚くべき自己組織化の自然な表現として、自発的に生ずるものである」とする。そして、「こうした自己組織化は、非常に複雑で一定状態を維持するような調節的なネットワークにおいてよくみられるものである」と言う。さらに「生命は、カオスと秩序の間で平衡を保たれた状況に向かって進化する。つまり、生命はカオスの縁に存在する」とする。水には、固体の水、液体の水、水蒸気と言う3種類の相があるように、複雑適応系にも、例えば接合子から成体への成長をコントロールするゲノムのネットワークは、凍結した秩序状態、気体的なカオス状態、秩序とカオスの間のある種の液体的な状態の、主に三つの状況において存在できる。そして、「ゲノムのシステムは、カオスへの相転移する直前の秩序状態にある」と言う考え方は魅力的だと言う。カオスの縁の近辺にあるネットワークが複雑な諸活動を最も調和的に働かせることが出来るし、また、進化する能力を最も兼ね備えているのである。

生物学における非常に大きな謎は、生命が生まれてきたことであり、我々が目にする秩序が生じてきたことである。我々は圧倒的倍率を勝ち抜くことによって生じた存在ではない。宇宙の中にしかるべき居場所を持つ存在であり、生じるべくして生じた存在である。

生命が生まれたのは、自己触媒作用を営む物質代謝を形成するために、分子が自発的に集合した時である。

複雑な系がカオスの縁、あるいはカオスの縁の近傍の秩序状態に存在する理由は、進化が系をそこに連れていったからである。

また、ウイルスと抗体のように互いに進化し合う共進化は進化にとって重要であると主張している。

さらに、綿密に色々な角度から自己組織化について検証している。例えば、ボタンを並べておいて、ランダムに拾い上げ、それを糸で結ぶ。その動作を繰り返すと、糸の数がボタンの数の半分のところで相転移が起こり、巨大な数のボタンが糸で結ばれて釣りあげられる。つまり、生命の誕生もそのような相転移が起こったからであり、それは偶然ではなく起こるべくして起こったのである。そして、自己触媒作用こそが細胞を創り出した基本なのである。

こうした考え方は、将来ニュートン力学や量子力学のような理論化がされると期待されるが、まだそれは成し遂げられていないが、必ずや将来成し遂げられ、その暁には、全体が見渡せ、人間の宇宙における立ち位置が分かってくると期待していると結んでいる。まさに非平衡の物理学の目指すところと一致しており、壮大な世界観が開けてくるような気がした。

科学の最近の進歩-1確実性の終焉 時間と量子論、二つのパラドックス解決 

火曜日, 1月 20th, 2015

I.プリゴジン(19172003)

このところ科学と芸術、科学と宗教と題して取り組んできた課題の集大成になるかもしれないと読んでみた。ニュートン力学を主体とする古典力学と量子力学が時間を考慮に入れない平衡状態を扱うものであったのに対し、自然とその申し子である人間は非平衡状態にあり、その状態を扱うことで現実を理解できるとの信念が出発点にある。そして、キーになるのは時間の矢なのである。そして、ポイントは確率論であり、統計集団なのである。確かに身の周りを眺めれば古典力学は理想状態の概念であることは明らかなことは分かっていた。量子力学もアインシュタインの相対性理論も時間の矢つまり一方的な時間の流れは取り入れられていない。プリゴジンがそこに疑問を持ったのは1945年頃、その後、非平衡の科学は発展を遂げていった。勿論、以前にも非平衡の物理学は存在した。最も典型的なのが熱力学第二法則である。エントロピーは増大する、これは宇宙に生じる不可逆過程に基づいている。しかし、ニュートン力学と量子力学の成功は平衡の世界を植え付け、非平衡の世界こそ現実なのにその状態を追求しようとする雰囲気はほとんどなかったのである。

古典力学の枠組みの中で不安定性の果たす役割は何だろうか。ここは完璧に理解できなかった。但し、古典力学で用いられてきた軌道記述は熱力学とは両立せず、平衡状態においても非平衡状態においても統計的アプローチを必要とする。量子力学の波動関数も微粒子の世界を描くと言う点で古典力学とは異なるが、やはり同じ状況にある。つまり前者は決定論的法則であり、時間は未来も過去も等価なのである。しかし、現実を見た時、過去と未来は同じであろうか。明らかに違うと言わざるを得ない。

138億年前にこの宇宙はビッグバンにより誕生した。これまでの物理学は時間もここから始まったとする。しかし、その前に時間は存在しなかったのであろうか。プリコジンは、時間は永遠の昔からあり、永遠に続くとしている。これこそ現実である。そして、発展は平衡状態とは相反する。ダーゥインは19世紀に生物の進化論を唱えた。これも古典物理学に反する。そして、20世紀後半、非平衡過程の物理学は発展し、新しい科学が誕生した。自己組織化や散逸構造と言った新しい概念が導入された。非平衡過程の物理学は、一方的な時間(時間の矢)がもたらす効果を記述し、不可逆性に対して新しい意味を付与した。プリコジンは時間の矢を持たない平衡状態の物質は盲目であり、時間の矢と共に物質は開眼すると言っている。

本書は、古典力学と量子力学を改定して、非平衡過程の物理学との整合性を図っている。ポイントは確率論であり、統計的集団であり、さらにポアンカレの共鳴理論が重要であることを主張している。しかし、この本だけでは到底そこまで理解することは困難なので、ここではこの記述だけにして、兎も角今後の物理学が非平衡状態を取り扱い、時間を考慮に入れ、現実世界を真に理解できるものとするべく発展していく状況にあることを述べておくにとどめる。従って、最初に目指した目標には届かないので、それは今後の課題としたい。

新年のご挨拶 2015年1月1日 

木曜日, 1月 1st, 2015

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

昨年は、9月末に第八期を終え、101日から第九期に突入いたしました。お陰様で、順調に推移しておりますが、あっという間の8年間であった思いがいたします。事業はフッ素系表面改質剤を中心とした製造販売と情報提供及びコンサルティングの二本の柱で進めております。これを私どもは文武両道と称しており、いずれも充実した運びとなっております。

文とは所謂企業文化といった面を持ち、フッ素に関する情報を主に海外文献、特許、新聞情報から集積し、冊子に纏めている月刊の情報誌とダイキン工業様のホームページに毎月投稿しているこれまた月間の「最新フッ素関連情報」およびコンサルティングから成っております。情報誌は約10社にご提供し、お役に立っているとの声を聞いております。「最新フッ素関連情報」は当ホームページにも掲載しておりますが、情報によりますと500人ほどの読者がいるとのことです。そして、今後はグローバルに展開する予定とのことでまずは韓国語に翻訳され韓国で展開しているとのことです。

武の方は、製造販売を指しており、企業の収益を支える、根幹をなす事業です。原料を購入し、弊社独自の合成・ブレンド技術により製品製造を行い販売することがメインです。その他に数社と契約を結び、OEM販売を行っています。開発は社長の富永と毎日のように議論しながら進めており、お互いの得意な面がぶつかり合い、投合して製品に繋がっていっていると思っています。両者とも研究所出身、まさに武士の商法的なところもありますが、経理担当の岡崎がしっかりとフォローしており、営業担当の顧問田村も頑張っており、順調に進んでいると自負致しております。

今年は一昨年来手がけてきた二つの新製品が収益に貢献する見通しが立ってきました。そういう意味で飛躍の年になる可能性を秘めています。一同その実現に向けて一層の努力を続けていく覚悟ですので、益々のご支援よろしくお願い申し上げます。

平成27年元旦

代表取締役会長 松尾 仁