明けましておめでとうございます。昨年、FT-Netは干支で1周して13年目に入り、順調に推移しております。これもユーザー、ディーラー、製造委託会社の皆様のお蔭と深く感謝いたしております。昨年は、6月にAGC(旭硝子)を卒業した青崎耕がジョインしてくれたことが最大の出来事でした。また、環境問題、原料問題が話題になった年でもありました。ここではこの二つのことを述べさせていただきます。
まず、青崎の加入です。彼はAGCでは透明フッ素樹脂サイトップおよび新防汚加工剤SURECOなどの開発に従事し、その発展に大いに寄与しました。彼の加入でこの2製品が弊社の製品ラインナップに名を連ね、期待の星となりました。また、その間培った豊富な技術をベースに製品開発において適切なアドバイスを行っております。さらに、彼はほぼ毎月、フッ素化学に関する講演を行っており、FT-Netの企業文化を高める役割を演じてくれております。彼の加入により、今年は飛躍の年になることが大いに期待されます。
次いで、フッ素の環境問題と原料問題に触れたいと思います。
環境問題は、地球温暖化(GWP)とPFOA問題があります。前者はGWPが比較的高いハイドロフルオロカーボン(HFC)の規制が強化されるなか、その代替品として登場してきて本格的な適用が始まったハイドロフルオロオレフィン(HFO)やハイドロクロロフルオロカーボン(HCFO)のことです。FT-Netも逸早く、AGCと連携してHFOやHCFOの市場開拓を検討し始めています。今年は是非とも販売にこぎつけたいと期待しております。
一方、PFOA問題は、元々パーフルオロオクタン酸(C7F15COOH)が北極の白熊の体内から発見されたことから始まり、規制が強化されてきました。そして、その関連物質であるC8以上の長鎖のパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル系のポリマーも規制の対象となり、我々も率先してC6F13基を有するポリマーへと転換を成し遂げましたが、C8F17基を有するポリマーも性能面でどうしても捨てがたく、一部使用してまいりました。ところが昨年、欧州において製品中のPFOAの含有量をppb以下に規制することが義務づけられることになり、さらに2020年以降PFOA関連物質もその規制に従うことも義務付けられることとなりました。日本でもその規制に従う法令が出されることは大いに予想される状況です。FT-Netも昨年開発を開始し、今年中には解決したいと考えております。
本年は飛躍の年になることは期待しておりますが、そのためにも環境問題には真摯に取り組んでユーザーの皆様からの信頼感を今まで以上に勝ち得ていきたいと思っております。
本年も一層のご指導・鞭撻をお願い申し上げます。 皆々様のご健勝を心からお祈り申し上げます。
2019年、平成31年1月元旦 代表取締役会長 松尾仁