日時 2016年7月14時?17時
場所 三菱マテリアル電子化成(秋田市)
出席者 三菱マテリアル電子化成
越村社長、中村副社長、本田所長、白石副社長、神谷主研、魚谷氏他20名
三菱マテリアル 中央研究所のメンバー数人がテレビ電話参加
園田高明、喜多房次(LIBTEC)、熊谷勉(滋賀県立大学名誉教授)、松尾仁(記)
スケジュール
越村社長の挨拶
園田高明氏の趣旨説明
喜多房次氏講演「先進リチウムイオン電池用フッ素化有機リチウム塩の電解液・電池特性と今後への期待」
松尾仁講演「リチウムイオン二次電池におけるフッ素系材料の最近の動向」
フリーディスカション
茨島荘にて会食
内容 喜多房次氏の講演については提供した資料の内容で講演。
まずは、LiBの現状と課題をあげ、長寿命で高温安定性の先進LiBを開発することが必要であり、さらに安全性と低コスト化は実用化において必須条件と説く。
そして、LiBの原理を紹介後、電解液としてリチウム塩の望ましい条件を列挙。
それに適っているのが有機リチウム塩で、特に含フッ素有機リチウム塩が望ましいとした。
次いで本題に入り、次に示す表題ごとに講演がなされた。
1、フッ素化有機リチウム塩を用いた電解液のイオン電導度と耐酸化性
2、フッ素化有機リチウム塩を用いた電池の評価結果
3、LiPF6由来のフッ素系有機リチウム塩を用いた電解液の性質と電池特性評価結果
4、まとめとフッ素化有機リチウム塩への期待
講演内容の詳細は添付資料に譲るが、理論的かつ実証的にわかりやすく説明されていたのが印象的であった。
ポイントは
1、(RfSO2)NLiが高い伝導性と耐酸化性を有していること。
2、サイクル特性の評価では((CF3)2CHOSO2)NLiが最も優れており、これは電極表面に保護膜SEIを効果的に形成していることによるとした。
3、LiPF6の熱安定性改良にはLiPF4(CF3)2が有効であることをΔH、ΔG、アニオンのHOMOエネルギーから確認し、実際には3年間PC/DME溶液として保存した際、ほとんど変わらなかったことで実証している。
結論として、フッ素系有機リチウム塩は今後大いに有望視されること、今後高電圧化が必要となるが、その時の安全性が重要であり、それには電極表面にどのようなSEIを形成させるかがカギを握っているとしている。
松尾仁も提供資料をベースに講演。LiBにおけるフッ素系材料をここ2年間の文献、特許からその動向を探ったものである。電解液、電解質、添加剤、セパレーター、電極ごとにどのようなフッ素系材料が開発されているかを述べた。また、F-を電荷移動体として用いたフルオライドイオン電池についても言及した。関心を示されたのは、東京大学の山田教授らが開発した電解質と溶媒の比率が1/1の超高濃度電解液の電池である。電解質にLiFSAを用い、溶媒にDMCを用いたもので、難燃性、高C-rate、高リサイクル特性、集電体Alを腐食しないなどの特性を有している。また、フルオライドイオンバッテリーは現行のLiBの5倍の容量が理論的には期待されるが、F-イオンが、反応性が高く、その状態を保てないため実用化には程遠い。園田高明氏は如何にF-イオンをその状態で働かせるかという課題を理論的に展開していた。
最後に今回の会は、質問も多く、大いに盛り上がったという印象を受けた。今後、若い人たちが、フッ素系材料によって革新的な電池の開発に寄与されることを願ってやまない。