「クマムシ」って・・・・・。


ある日、私が愛犬を連れて散歩をしておりましたら、近所の愛犬家男性Aさんと偶然にお会いし、共に暫く散歩をご一緒することになりました。Aさんは私と同様大変な愛犬家であり、またお酒という共通する趣味がありましたので時々おしゃべりをさせていただいたかたでした。

その日はAさんから「クマムシを知っていますか」と聞かれました。クマムシでムシという言葉が付いていたので多分昆虫類と推定したにとどまりましたが、私は学生時代自然界の動植物の生態や分布を調査する団体に属しており、尾瀬ヶ原に代表されるような高層湿原という狭い限られた範囲の昆虫類、小動物、植物、菌類、藻類等を事細かく観察調査をしてきたという経験があり、ある程度の昆虫類を含めた動植物の知識は多少ありましたが残念ながらクマムシという名前は初めて知りました。

 でもクマムシという名前にも惹かれ「クマムシというものは知りませんでしたが、なにか興味は持てそうな名前ですね」と答えたところ、その方は少し得意な顔になり、是非ともと言ってAさんのお宅に招待されました。すると普通の御家庭には絶対に見られない大変立派な顕微鏡が2台ドーンと鎮座しており、まあ覗いて御覧なさいと言われ、顕微鏡を覗いたところなにやらおかしな生き物がいるではありませんかこれがクマムシですと言われましたが、私がこれまでに見た多くの動植物類とは全く異なった誠に不思議な形態の生き物でした。残念ながらその時の写真はありませんのでインターネットからダウンロードした「クマムシ」の写真を掲載させてもらいます。なんとも不思議な形の生き物ですし、よく見るとユーモラスな姿をしております。

 その方のお話をかいつまんでクマムシをご紹介しますと、クマムシは4対8脚の足を持ち、ゆっくり歩く動物、緩歩(かんぽ)動物に分類され92属750種が知られているそうです。熱帯から、極寒地方、超深海から高山、温泉の中まで、海洋、陸水、陸上ありとあらゆるところに生息している。大きさは1mm以下で、多くは湿地のコケ類や淡水中の水生植物の間、海岸潮間帯の藻類の間等に棲み、堆積物中の有機物を含む液体や、動植物の体液を食物としているようです。そのクマムシの持つ最大の特徴その形ではなく、彼らが持つ生命力にあるそうです。その不死身ぶりはほぼ絶対零度(-273℃)の低温から、150℃の高温、そして人間の致死量の千倍以上に相当する放射線(57万レントゲン)、しかも真空状態に曝されても生きているという、まさにスパーマンを凌ぐような不死身にあるそうです。但し生きたクマムシを踏めばぺちゃんこになるし、火にくべれば真っ黒になってになって死んでしまうそうで、極限状態での生命の維持はクマムシが乾燥状態にあるときだそうです。乾燥状態になると樽型に変身、真空、高温、高圧、放射線にも耐え、電子レンジでも平気で、120年間水無で生き続ける。といったお話を伺いました。

 Aさんは以前から「クマムシ」の生命力は何が維持しているのか興味を持って観察を続けているそうです。Aさんはだいぶ前に定年退職され、今日に至っているそうですが会社勤務時代から自然界の動植物に興味があり、菌類などいろいろな物を観察を続けていたが現在はクマムシに特に興味を覚えたそうです。Aさんはこの「クマムシ」の生命力の根源を追求すると共にその増殖にも力を入れているそうです。

 毎週日曜日の6時半からTBSで「夢の扉」という番組が放映されているが私はこの番組が大好きで欠かさず見ている。夢の扉では町の学者さん、大学の研究者、企業の開発担当者達が自分研究に将来の夢を持って毎日地道な努力を払いその現実に一歩一歩近づこうとしている姿と将来像を紹介してくれるものである。中にはこれが実現したら人類の発展に大いに貢献できるようなことを自分一人で日々こつこつと努力されて、それが暫くたつと本当に現実味を帯びてくると感動ものであります。

 先ほどのAさんがクマムシの生命力の根源を明らかにすることは難しいかもしれないが、それがAさんの手で明らかにされたならこんなうれしいことはない。そんなAさんに少しでも力になればと思いインターネットで関連文献などを調べて提供を行ったりしております。大学や企業の研究機関に比べ研究設備も乏しいAさんその努力が報われる日を待ち続けたいと思います。