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「フッ素のロマンを語る会」について

火曜日, 3月 1st, 2016

昨年9月に、FT-Net松尾と元九州大学で現在、世界中を飛び回っている園田高明氏とが発起人になって、「フッ素のロマンを語る会」を立ち上げた。呼びかけに応じていただいた方々は、東京薬科大学名誉教授田口武夫氏、元ダイキン工業の清水哲男氏、日本フッ素化学会理事小野泰蔵氏、イハラニッケイ化学工業リサーチフェローの木村芳一氏、信州大学名誉教授の東原秀和氏である。

昨年9月に第一回会合を株式会社FT-Net事務所で行った。東原氏以外は参加。まずは、簡単な自己紹介後、この会議開催の意義について、議論がなされた。

「何のための会なのか」:フッ素化学の歴史を踏まえた現時点での位置づけ、それぞれのフッ素化学における個人的な歴史、これまでに残してきた課題などを明確化し、将来を語り、特に若い世代に伝えていくこと。

「何をしようとするのか」:フッ素化学の中で、それぞれの専門分野において、個人的、全体的にその歴史を振り返る作業を行う。また、例えばフッ素は何故表面エネルギーが低いのか、あるいはフッ素の医薬・農薬における役割といった基本的な問題を出来うる限り取り上げる、そして、年に23回集まり、場合によってはそれぞれの課題に詳しい専門家を招致し、徹底的に議論する。いずれにしても今まで出されてきたフッ素化学の数々の清書とは全く違った、深く掘り下げた内容のものにしたい。

「メンバーについて」:基本的には今回出席できなかった東原秀和氏を含めた上記メンバーで進行していくが、さらに海外も含めてさらに増やしていくことに吝かではないがあまり増やすことはしない。

「期間について」:3年をめどにまとめていきたい。

「成果の報告」:できれば製本して世に出したいが、それにはこだわらず、状況に応じて小冊子の形で出していくことも検討したい。

その後、場所を神楽坂の料理屋に移して大いに語らい、上記のことを深化させた。

次いで2回目として、本年、223日にダイキン工業のテクニカルイノベーションセンター(TIC)で京都大学の長谷川健教授をお招きして、「フッ素化合物の物性の統一的見解に向けた物理化学」という題目で講演していただいた。我々の会からは、園田氏、清水氏、小野氏、松尾が参加し、数十名のダイキン工業の研究者が聴講した。非常に分かりやすい言葉とほとばしる情熱で語ったことが強く印象に残った。結論としては、パーフルオロアルキル基を有する化合物の1分子と分子集合体との違いを双極子相互作用を中心に据えた近似モデル(SDAモデル)で統一的に説明ができるというもの。特にパーフルオロアルキル基の鎖長を変えたとき、C8以上で凝集し、高い撥水性を示すことを赤外スペクトルと双極子相互作用の理論面から証明したことが特筆に価する。勿論、このことは実験的には古くから知られていることで、最近のPFOA問題でC6に変えざるを得なかったメーカーの最大の課題に関係することであるが、新しい理論で理論付けできたことは画期的であり、今後の発展につながっていくことが期待された。そのほかに、PTFEを延伸したときに水が強固に吸着することも双極子相互作用で説明できると述べていた。フッ素化学の常識を破るといっても過言でないと考えている。この講演に対する質疑応答が講演後に行われ、また場所を移して我々4名を含む十数名が集い、さらに議論が重ねられた。結論としては、この理論を今後さらに発展させ、如何に新製品開発につなげていくかが最大の関心事であり、長谷川教授自身もそのことに意欲を示されていたとの印象を持った。

次回は本年7月ごろを予定している。