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「ヒドロクロロフルオロオレフィン」

水曜日, 8月 7th, 2013

最新フッ素関連トピックス」はダイキン工業株式会社ファインケミカル部のご好意により、ダイキン工業ホームページのWEBマガジンに掲載された内容を紹介しています。ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。尚、WEBマガジンのURLは下記の通りです。

http://www.daikin.co.jp/chm/products/fine/backnum/201308/#topic01

1、はじめに
フルオロカーボンは、1996年のCFC、2020年のHCFCの規制に続き、HFCも規制の動きが活発であり、わが国では6月にフロン回収・破壊法の改正が参議院で可決成立した。主にHFCの規制を強化するものである。市場においてもHFCの規制は進んできており、その代替フロンとしてハイドロフルオロオレフィンHFOが登場してきている。さらにこれに塩素を導入したヒドロクロロフルオロオレフィンHCFOの開発が盛んで、特許の出願が活発化している。ここでは、ハネウエル・インターナショナル、アーケマ、ダイキン工業、ソルヴェイなどの特許情報をまとめてみた。

2、特許に示されているHCFO
HCFOとしては、下表に示すモノクロロフロロプロペンがほとんどである。

CF3CH=CClH HCFO-1233zd
CHF2CF=CClH HCFO-1233yd
CHF2CH=CClF HCFO-1233zb
CHF2CCl=CHF HCFO-1233xe
CH2FCCl=CF2 HCFO-1233xc
CHFClCF=CFH HCFO-1233ye
CH2ClCF=CF2 HCFO-1233yc
CF3CCl=CH2 HCFO-1233xf

その中でもHCFO-1233zdが最も多く取り上げられている。その合成法は下記の通りである。

Cl3CCH2CHCl2+HF → CF3CH=CClH    1)

この場合、トランス形(E)とシス形(Z)があるが、トランス形の方が、毒性が低く使用可能である。

3、ハネウエル・インターナショナル
HFOあるいはHCFOを冷媒として用いる、吸収冷凍(冷却)システムを提案している。1) 吸収剤としては、フッ素有機化合物あるいは非フッ素化油が用いられている。ここでは、HCFO特にモノクロロヒドロフロロプロペンが好ましく、HFO同様冷凍能力が高く、地球環境に優しい冷媒としている。
また、モノクロロトリフルオロプロペンHCFO-1233zd、1233yd、1233zb、1233xe、1233xc、1233ye、1233yc、1233xfが熱伝達組成物、発泡剤組成物、フォーム及びフォームプレミックス、溶媒組成物、噴射剤、洗浄組成物、及び相溶剤をはじめとする組成物により、オゾン層を破壊しない、地球温暖化係数が低いなどはもとより低毒性、不燃性、熱伝達特性、潤滑剤相溶性などの必要性を満たしているとしている。2)
さらに、HCFO-1233zdとトランス-1,2-ジクロロエチレン、並びにメタノール、エタノール、n-ペンタン、及びイソヘキサンなどとの共沸組成を調べ、その応用展開を考察している。3) 例えば、共発泡剤、充填剤、蒸気圧調整剤、火炎抑制剤、及び安定剤を含む発泡剤や、蒸気脱脂、冷間洗浄、拭取、及び同様の溶媒用途において用いるための溶媒、あるいは共沸混合物様の混合物を含む気泡ガスを含む独立気泡フォームなどが提案されている。
また、トランス形HCFO-1233zdの高収率合成法を提案している。4)それは、上記1)式において、HF、及び1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン、1,1,3,3-テトラクロロプロペンに加えて1,3,3,3-テトラクロロプロペンの有機供給混合物を、四塩化チタン触媒の充填物中に連続的に供給する方法である。温度は85℃で、トランス形HCFO-1233zdは85%以上の収率で得られた。

4、アーケマ
HCFO-1233zdあるいは1233xfとHFO-1234yfとの混合物発泡剤が熱硬化性発泡体の製造に有効であるとしている。5)
また、毒性の低いトランス形HCFO-1233zdを用いて、より均一に分散されたウレタンフォームを製造する方法を提案している。6)具体的には、二つの工程からなる。1)発泡剤を他のポリウレタンプレミックス成分と混合する工程
2)次いで反応射出成形の高圧混合吐出装置を使用する工程。
さらに、イソシアネート化合物とポリオール化合物とを混合した後にフォームを膨張させる一成分ポリウレタンフォームではなく、フォームの膨張中にイソシアネート化合物とポリオール化合物とを混合する二成分ポリウレタンフォームの製造に、トランス形HCFO-1233zdとトランス-1,2-ジクロロエチレン(TDCE)、エチルテトラフルオロエチルエーテル(ETFEE)、酢酸メチル、ギ酸メチル、ジメトキシメタン、ノナフルオロエトキシブタン(HFE-7200)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)などとの混合物を発泡剤として提案している。7)

5、ダイキン工業
HCFO-1233xfを各種フルオロカーボンの合成中間体あるいはフッ素樹脂モノマーとして、また、それ自体を発泡剤や噴射剤として利用するべく、下記の合成法を提案している。8)
CF3CHClCH2ClあるいはCF3CCl2CH2のKOHおよび相間移動触媒(C8H17)3CH3N+Cl-存在下に脱塩化水素によりHCFO-1233xfを得るもので、高収率高選択性を謳っている。

6、ソルヴェイ
ヒドロクロロフルオロアルカン類の選択的脱フッ化水素方法によるHCFOの合成法を提案している。鍵となるのは触媒で、AlF3-δ、MgAlxF2+3x-δおよびMgZryF2+4y-δからなり、x、yは互いに独立して0~0.33の範囲の値、δは0~0.1の範囲内の値を有する。9)触媒として具体的には、AlF3、MgAl0.1F2.3、MgZr0.1F2.3が例示されている。

7、セントラル硝子
HFCO-1233zdの出発物質であるCF3CH2CHClF(HCFC-244fa)を実質的に含まない効率的な精製法を提案している。10)本法はHCFO-1233zdとHCFC-244faの混合物を第三級アミンで処理し、さらにNaOHで処理、蒸留する方法である。また、N,N-ジメチルアセトアミド等の金属可溶化剤と元素状の鉄を主成分とする触媒を用いることにより、触媒寿命の短縮、装置スケーリングや腐食等の問題が改善でき、工業的に優位性のある合成法を提案している。11)

8、ゾルファイ フルーオル
高表面積非晶質か結晶化度の低いAlF3を触媒としてHCFC-244faからHCFO-1233zdを合成する方法を提案している。12)

9、おわりに
すでにHFOは冷媒、発泡剤、噴射剤として市場に登場してきているが、HCFOはHFOと同様地球温暖化係数が低いうえに、比較的毒性が低く、相溶性が高い、さらにHFOに比して沸点が高く、特に発泡剤として高密度フォームが可能であるという利点を有している。最近、HFOの微燃性が問題になっている。HCFOや塩素の代わりに臭素を導入した系がその問題点に応えてくれる可能性がある。今後、HCFOはこういった利点を生かして、冷媒、発泡剤などとして実用化していくことが予想される。

特許
1) ハネウエル・インターナショナル 特表2013-525724、特表2011-520089
2) ハネウエル・インターナショナル 特表2013-504658
3) ハネウエル・インターナショナル 特開2013-108082
4) ハネウエル・インターナショナル 特表 2013-520421
5) アーケマ 特表2010-522818
6) アーケマ 特表2013-504656 特表2013-521397
7) アーケマ 特表2011-520028
8) ダイキン工業 特表2012-524027、特表2013-519631
9) ソルヴェイ 特表2013-525275
10) セントラル硝子 特開2013-087066、特開2013-103890
11) セントラル硝子 特開2013-139414
12) ゾルファイ フルーオル 特表2012-509857