神楽坂界隈探索-2

この地に越してきて、昼食を毎日のように店を変えて食べ回っているが、今回は手書きの地図の本多横丁と周辺の食べ物屋を紹介する。
この中で、凛と、魚淡菜、九頭龍蕎麦、鳥茶屋、練り屋文楽、芝蘭、ソリッソはすでに紹介した。
今回は、本多横町とその先の通りの店を紹介しよう。
入口の「五十番」、肉まんとラーメンの組み合わせを注文。肉まんはふわっとして大きく、味も上品で美味い。ラーメンはあっさりしていて味わい深かった。

入口の反対側は、お菓子の「千鳥屋」。入ると若い女性が応対する。何がお勧めかと問うと即千鳥饅頭だと言う。その気合いに押されて二つ返事で千鳥饅頭を求める。薄皮でカステラ風、中味は白餡、見た目は何の変哲もないが、口に入れると、寛永7年創業の老舗の味わいが口一杯に広がった。

次いで、「鳥栄」。どうも鰻屋のようだが、昼は魚中心のメニューのようだ。焼き魚定食を頼む。5分ほどで出てきた。秋刀魚の塩焼き、身が引き締まって脂も乗っていて美味い。またアサリの味噌汁がアサリの身が大きく、出汁も効いていてなかなかのものであった。
その先には、天ぷらの「喜楽」。カウンターに客が三人と少ない。昼食として、てんぷら定食が1000円でそれが最も安いとなれば当然なのかもしれない。迷わずてんぷら定食を頼む。背の高い若いお兄さんが独りでてんぷらを揚げ、できた順に紙を敷いた皿に置く。天つゆと大根おろし、ご飯、シジミのみそ汁、おしんこうが膳に並ぶ。まずは海老の天麩羅2匹、小ぶりだが、からっと揚っていて美味い。天つゆもなかなかのものだ。次いでアジ、ミョウガなどが出て、最後に貝柱の天麩羅が美味であった。人は美味に満足すると誰かに話しかけたくなるものだ。「ここは古いんでしょう」とお兄さんに話しかけると、彼はカウンターで世話をしていた白髪交じりの御主人に振る。「明治の後半に私の曽祖父が始めたんですよ。最初はここではなく一つ向こうの通りに出していたんだそうです」と答える。それから今年の暑さの話題に花が咲き、「ありがとうございました」の女性を交えた3つの声に送られて気分よく店を後にした。

その先に並んで弁当屋の「和食や」、いつも若い女性のみならず、中年から熟年の男性まで、いつも昼時は混んでいるので、一度弁当を買ってみた。海老チリ弁当、500円也。味噌汁を付けて650円。海老が大きく味もよく、みそ汁もなかなかのものであった。やはり混んでいるところは間違いがない。
その筋向いが、○鉄。大衆食堂風の店、何が専門だかわからないメニューからビビンバを頼んだが、750円にしては今一であった。
そのまた筋向いが、ワインバー「Fillette」。1階がウイスキーバーで、その2階にある。オーナーは同じで多少趣味的に経営しているらしい。昼間はランチを饗する。カウンターに座るとワイングラスが数段にわたってずらりと並んでいた。鶏のクリーム煮を頼む。最初にキャベツをみじん切りにしたサラダが小さな皿に盛られて出てきた。味はいいが、少々少ない。次いで、メインディッシュ。これも上品な器に盛られて、量は少ないが、いい味であり、不思議と満腹感があった。最後にコーヒーが出てきたが、これがなかなかの絶品であった。しめて1000円。満足感はあった。
お隣に「心」。魚・旬菜とお酒の店で夜の接待に使った。味も値段もまあまあの印象。
本多横町から軽子坂上を通り過ぎると、右側に「辰吉」がある。とんかつが専門。20年のキャリアだそうだ。2度行き、とんかつとミックスフライを食べた。いずれも揚げ方が実によく味は家庭的だ。キャベツの千切りも適度で780円、満足であった。2度目の時、監査役のOさんとFさんも同行し、彼らは海老のコロッケを注文したが、舌鼓を打っていた。
その筋向い、「まろうど」。信州斑尾高原の蕎麦処の東京店とのことだが、蕎麦は夜だけで、昼は惣菜ランチであった。つまり、メインディッシュだけを注文し、惣菜バーから好きな物を好きなだけとって食べる方式であった。味は良かったが、お茶が水道水の味がし、幻滅を感じた。
その先に「珈瑠で」。ここに来て最初に入った店。スパゲティーに珈琲がついているごく普通の喫茶店。味もごく普通の味。
その先が、今回最後に紹介する「葱屋みらくる」。葱がいっぱいの鍋料理が専門だが、昼食はランチ中心。Oさんと入る。名前を失念したが、ピンク色の大きな焼き魚に味噌汁と葱味のする豆腐などの付け合わせがなかなかの味であった。また他日Fさんと入り、ブリ大根とホルモン焼きの組み合わせに味噌汁とおしんこうが加わり、いい味であった。但し、Fさんはホルモン焼きが苦手とのことで丸々残したが、ブリ大根で十分だったと満足そうであった。また、夜の席も経験している。会社の人たちと4人で行った。少々高めで、昼ほどの満足感はなかった。
次回は、本多横丁の周辺の店を紹介したい。